北九州・遠賀・中間のいちばん身近な法律事務所を目指して

お知らせ&コラム

2024.04.18
交通事故における過失割合

1 交通事故における過失割合とは

 過失とは、一般的に「注意義務に違反する状態や不注意」をいいます。
 交通事故における過失割合とは、交通事故の結果発生に対する当事者双方の不注意について、全体を100%とした上でそれぞれの不注意の比率(責任の割合)を示したものになります。

 具体例を出せば、Aさんが運転する車両が赤信号に従って停まっているところにBさんが運転する車両が追突した場合には、一般に信号停止しているAさんに不注意はありませんので、原則として過失割合は「Aさんが0%、Bさんが100%」(Bさんの一方的過失)になります。

 他方で、歩行者であるCさんが青色点滅の歩行者信号で横断を開始し、Dさんが運転する車両が赤信号で進入して歩行者に衝突した場合には、基本的な過失割合としては「Cさんが10%、Dさんが90%」と考えられています(ただし、個別事情に応じて割合は変わる可能性があります。)。
 これは、青色点滅の歩行者信号で横断を開始したCさんにも不注意があると考えられることが想定されているからだと思われます。

2 過失割合は損害賠償金の金額に大きく影響します
 交通事故被害に遭ったら、車両に傷がついたり凹んだりする物的損害や、怪我をして病院の治療費や通院交通費、休業損害、慰謝料などの人身損害も発生する可能性があります。被害者はこれらの損害について相手方に賠償請求することができますが、被害者に過失があると、その被害者の過失に相当する割合分は相手方に請求できず、自分で負担しなければなりません。
 つまり、過失割合はその割合や損害が大きければ大きいほど、請求できる損害賠償金の金額に大きく影響する重要な要素といえます。

【具体例】
 被害者Aさんに20%の過失があり、総損害額が200万円の場合
    200万円×(100%-20%)=200万円×80%=160万円

3 過失割合の基準
 過失割合は、過去に多数の裁判例が蓄積されてきた中で、事故態様を類型化して一定の基準が形成されており、その基準(過失割合認定基準)を参考にして決定されることが一般的です。
 そのため、自身が遭遇した交通事故の過失割合を調べるには、自分の事故を過失割合認定基準に書かれた事故類型に当てはめてみることが最も簡単な方法です。
 
 有名なのは、別冊判例タイムズという法律雑誌にある「民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準」というものですが、この他にも日弁連交通事故センター東京支部から販売されている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)や、日弁連交通事故相談センター本部が発行している「交通事故損害額算定基準」(通称「青い本」)、その他にもさまざまな書籍が出ているので参考にするとよいでしょう。
 ただし、専門用語や専門知識を必要とすることもある上、自分の事故が類型化されている事故態様のいずれにも当てはまらないことや、特殊な個別事情で大きく割合が変わることもありますので、独自の解釈で即断することは危険なケースもあります。

 適切な過失割合を確認するには専門的な知識を持って取り組む必要がありますので、ぜひとも弁護士にご相談ください。