北九州・遠賀・中間のいちばん身近な法律事務所を目指して

お知らせ&コラム

2024.05.02
自己破産手続きについて

1 自己破産手続きについて
 
・ 自己破産とは
 自分の財産や収入を全てあてても、全ての債務を返済できなくなった場合に、裁判所に申し立てることにより、全財産をお金に換えて、そのお金をすべての債権者に対し公平に分配し、債務を清算する手続きです。
 もっとも、全てのプラス財産を失う訳ではなく、一定の現金や財産は自由財産として残すことができます。 

・ 免責許可とは
 自己破産と合わせて申立てを行い、裁判所から免責許可決定を受けることにより、法律上借金を返さなくてよくなる手続きです(ただし、一部例外はあります。)。自己破産で清算しただけでは債務は残ってしまいますので、残った借金の支払責任を免れるために行われます。

 ※個人の自己破産では、一般的に「自己破産」と「免責許可申立て」が同時に申し立てられますが、あくまでも2つは別個の制度であり、自己破産手続の後に免責について審理されることとなることに注意が必要です。

2 自己破産・免責許可申立のメリット・デメリット

・ 自己破産・免責許可申立のメリット
 免責許可決定を受けることで、現金や財産をある程度残した上で(日常で使用する家具や家電も没収されません。)、税金などの非免責債権を除き、全ての借金の支払責任を免れることができます。

・ 自己破産・免責許可申立のデメリット
① 自己破産手続の期間において、法令の定めによる資格等の制限により一部の職業に従事できないおそれがあります。 
② 信用情報機関(資金需要者の借入金返済能力に関する情報の収集及び金融機関に対する当該情報の提供を行うものをいう。)において借入金返済能力に関する情報(いわゆるブラックリスト)を登録され、金融機関からの借入れ等に関して支障が生じるおそれがあります。
③ 破産に関する情報を掲載している官報に住所氏名が掲載されます。
④ 所有している不動産や動産、債権等の資産を失う可能性があります
⑤ ギャンブルや浪費など一定の場合に該当すると、免責されないおそれがあります。

・ メリット・デメリットの比較
 自己破産・免責許可申立の手続きは、ある程度の財産を手元に残した上で借金の支払い責任を免れることができることが最大のメリットです。
 他方で、債務超過となっている方々においては、すでにブラックリストに載っていてめぼしい財産も持っていないケースがほとんどです。資格制限される職業も一部にすぎず、官報掲載により周囲の人に破産したことが知られることもまずありません。なお、破産すると、戸籍や住民票に破産の記録が残る、パスポートが取得できない、一生ローンやクレジットカードが利用できない、等の誤解があるようですが、そのようなこともありません。
 以上のことからすると、自己破産・免責許可申立の手続きは、多重債務で苦しんでいる方々にとっては、経済的更生を図るための非常に魅力的な制度といえるでしょう。

3 自己破産・免責許可申立の流れ

・ 同時廃止と管財事件
 自己破産・免責許可申立の進行方法には、同時廃止と管財事件の2つの方法があり、破産者が財産を持っていない場合、債権者に配当することができませんので、自己破産手続は開始と同時に終結されます。これを「同時廃止」といいます。
 一方、財産を有していて配当を実施される必要がある場合や、免責許可を出すのに問題(「免責不許可事由」といいます。)がある場合には、破産管財人が選任されて必要な対応を進めていくことになります。これを「管財事件」といいます。

・ 同時廃止の一般的な流れ
 ① 弁護士に相談、依頼
   ↓
 ② 弁護士より各債権者に受任通知を送り、取立・返済が止まる
   ↓
 ③ 申立てのための書類を準備し、裁判所に自己破産を申立て
   ↓
 ④ 自己破産の開始決定と同時に廃止決定で即日終了
    免責についての意見申述期間が定められる
   ↓
 ⑤ 意見申述期間経過後、裁判所から免責許可決定の通知を受ける。
   ↓
 ⑥ 不服申し立てがなければ免責が確定する

 
・ 管財事件の一般的な流れ
 ① 弁護士に相談、依頼
   ↓
 ② 弁護士より各債権者に受任通知を送り、取立・返済が止まる
   ↓
 ③ 申立てのための書類を準備し、裁判所に自己破産を申立て
   ↓
 ④ 自己破産の開始決定 債権者集会期日の指定
   免責についての意見申述期間が定められる
   ↓
 ⑤ 債権者集会 破産管財人から業務の報告 
   ※以後、管財人の業務が終わるまで繰り返し。
  → 配当があれば配当手続が行なわれる。
   ↓
 ⑥ 破産手続廃止決定・免責許可決定 
   ↓
 ⑦ 不服申し立てがなければ免責が確定する

4 最後に

 自己破産・免責許可の申立ては、経済生活の再生の機会の確保を図るための最終手段です。借金苦から解放されたいとの思いは当然ですが、その後どうやってやり直していくかを考えることこそが最も重要です。
 折尾駅前法律事務所では、形式的な破産手続の申立のみならず、依頼者に寄り添い、その後の経済的更生を見据えた申立支援を行いたいと考えております。