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2024.05.09
交通事故による損害として「何を」「誰に」請求できるか

1 請求できる損害とは(何を)

 交通事故による損害として請求するためには、交通事故と損害との間に因果関係があることが必要となります。
 因果関係とは、「あれがあったから、これが生じた」という関係のことを指しますが、交通事故で因果関係のある損害を加害者に全て賠償させようとすると、その範囲が無制限に広がっていく危険性があることから、その範囲は「通常生ずべき損害と、特別の事情によって生じた損害でも加害者が予見しうるもの」に限定されています(「相当因果関係」といいます。民法416条)。
 具体的には、並走する車のドアミラー同士が当たった場合など極めて軽微な事故では、ケガはしないとして因果関係が認められないこともあります。
 
 交通事故によって生じる損害には大きく分けて「積極損害」と「消極損害」、「慰謝料」があり、その内容は主に下記のとおりです。
 ①積極損害(交通事故のために支払わなくてはならなくなった損害)
  治療費、看護費、入院雑費、交通費、車の修理費用など
 ②消極損害(得られたであろう利益が交通事故のために得られなくなったもの)
  休業損害、逸失利益など
 ③慰謝料(事故によって受けた精神的苦痛を金銭的に評価したもの)
  傷害慰謝料、後遺傷害慰謝料、死亡慰謝料

2 請求できる相手方とは(誰に)

 交通事故による損害賠償請求を行うには、相手方に過失がなければなりません。たとえ1割でも相手方に過失があれば損害賠償請求自体は成立しえますが、相手方に過失のない事故の場合、相手方への損害賠償請求はできません。
 また、運転者には限らず、①運行供用者(自動車使用に支配権を有し、かつ、その使用により利益を得られる者)や②加害者が未成年者の場合のその親、③業務での運転における運転者の雇主なども賠償義務者に当たる場合があります。なお、ご自身の一方的な過失で発生した場合でも、ご自身が加入する保険会社による保険金の給付であれば受けられる場合がありますので、必ず検討するようにしましょう。

 交通事故における損害賠償では、請求できる損害や相手方が漏れてしまい、十分な賠償を受けられない危険性があります。判断に迷った場合には弁護士に相談することをおすすめします。