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2024.06.07
自賠責保険の制度の仕組み-支払限度額や請求方法

 自動車の運転に身近な一般の方々であれば、「自賠責保険」については知っているとは思います。最近の交通事故に関するさまざまなホームページでも、「自賠責保険からはいくら支払があります」といったものや、「後遺障害等級の認定はこういったものがあります」など、さまざまな情報が散見されます。
 ところが、自賠責からの支払基準や金額の根拠となると、情報は乏しく、また自賠責保険自体の内部構成も不明瞭であるため、参考として記事にしたいと思います。

1 自賠責保険とは

 正確には、「自動車損害賠償責任保険」といい、強制保険といわれるように、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」といいます。)5条によって、自賠責保険が契約されていない自動車を運行の用に供してはならない、と定められています。
 なお、違反に対しては罰則規定があって、「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」(自賠法86の3)と規定されています。

2 内容

(1) 支払限度額
 保険金の支払限度額は自動車損害賠償保障法施行令(以下「自賠法施行令」といいます。)2条に規定されており、詳細は割愛しますが、概要は下記のとおりです。
 ① 傷害     120万円まで
 ② 後遺障害   75万円から4000万円
 ③ 死亡     3000万円

(2) 対象事故
 人を怪我させた事故であれば対象というものではなく、保有者が賠償責任を負う場合として、自賠法3条が以下のとおり定めています。
 ① 自動車による交通事故であること(つまり、自転車は含みません。)
 ② 被害者が「他人」であること(運転者、運転助手は含みません。)
 ③ 人身損害であること

 (3) 請求方法
 大きく次の4通りの手続による支払が考えられます。
 ①加害者請求(自賠法15条)
 法文上の原則は①となります。なぜなら、自賠責保険は、一定の者が他人に対して賠償責任を負う場合に、その者が他人に対して賠償したことによる損害を填補する制度だからです。この請求は「自己が支払をした限度」においてのみ、することができます。

 ②被害者請求(自賠法16条)- 本請求
 法文上の原則は①ですが、そうすると加害者によっては任意保険に入らず、資力不足等のために被害者に十分な賠償を行わない場合があります。
 そこで、このような場合、被害者保護のため、被害者から自賠責保険会社に対して直接賠償金の支払いを請求できるようにしており、この規定が「被害者請求」の制度です。

 ③被害者請求 – 仮渡金制度(自賠法17条1~4項)
 被害者が当面の治療費や生活費に困るときに、損害を立証する書類がなくても診断書等を提出することによって自賠責保険から一時金の支払いを受けるものです。
 仮渡金額は、自賠法施行令5条で一定額に定められています。

 (4) 時効
 現在の自賠責保険への請求にかかる時効は3年です。
 被害者請求は事故発生後3年間が時効です。ただし、後遺障害については後遺障害の残存確定(症状固定)時から3年間です。
 加害者請求は賠償金を支払ってからが起算点です(3年)。