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お知らせ&コラム

2026.09.15
「相続財産清算人」について(身寄りがない方の遺産はどうなる?)

1 はじめに
 天涯孤独な方が亡くなった場合や、法定相続人の全員が相続放棄をした場合、残された遺産はどのように管理・清算されるのでしょうか。このような場合に、家庭裁判所から選任されて財産の管理や清算を行うのが「相続財産清算人」です。

  
2 相続財産清算人とは?
 民法951条は「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」と定め(「相続財産法人」といいます。)、このように相続人がいるか不明な場合、家庭裁判所は「利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない」と規定しています(民法952条1項)。
 選任された相続財産清算人は、被相続人(亡くなった方)の財産を調査・管理し、債権者や受遺者への支払を行い、最終的に残った財産を国庫に引き継ぐ役割を担います。

※ 相続財産管理人とは・・・(令和3年民法改正関係)
 令和3年の民法改正(2023年4月1日施行)により、清算目的の管理人は「相続財産管理人」から「相続財産清算人」へと名称が変更されました(清算を目的としない相続財産管理人〔民法897条の2〕もあり)。

  
3 相続財産清算人が必要となる主なケース
 相続財産清算人の選任は、主に以下のような場面で申し立てられます。

①被相続人の債権者が債権を回収したい場合
 天涯孤独で親族がおらず、遺言書も残されていない中で、被相続人にお金を貸していた債権者や、抵当権付きの住宅ローン債務を有する債権者が、債権回収や手続きを進めるために申し立てるケースです。相続財産があれば、相続財産清算人から弁済を受けられる可能性があります。

②相続人全員が相続放棄をし、相続財産の管理を任せたい場合
 相続人全員が相続放棄をし、相続財産を管理・清算する者がいなくなったケースです。相続放棄をした人は、放棄時に占有していた相続財産がある場合には、相続放棄後も引き続き管理する責任を負いますので(民法940条)、空き家のように維持管理に負担やリスクがかかる場合に、相続財産清算人を申し立てることで相続財産の管理や処分を任せることができます。

③特別縁故者が財産分与を希望する場合
 生前に被相続人と生計を同じくしていた者や療養看護に努めた者など、特別の縁故があった者が遺産の分与を受けるために申し立てるケースです。家庭裁判所は、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができるため(民法958条の2)、特別縁故者には財産を受け取れる可能性があります。

4 手続きの流れと期間
 相続財産清算人が選任されてから完了するまでの一般的な流れは以下のとおりです。

①家庭裁判所への選任申立て
 相続開始地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。
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②選任と公告
 家庭裁判所が清算人を選任し、遅滞なく公告を行います(民法952条2項)。清算人には、公平な清算手続きを行うため弁護士や司法書士などの専門職が選任されることが通常です。
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③財産調査と管理
 選任された管理人は「その管理すべき財産の目録を作成しなければならない」と定めています(民法953条、27条1項)。
 また、「第百三条(保存行為、改良行為、利用行為)に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができ」ます(民法953条、28条)。
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④債権者・受遺者への弁済
 「相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、二箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告し」(民法957条1項)、公告期間満了後に弁済を行います(民法957条2項、929条から931条)。ただし、財産がない場合には、弁済できないこともあります。
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⑤特別縁故者への財産分与(該当者がいる場合)
 民法958条の2第1項は、被相続人と特別の縁故があった者の請求により「清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる」と定めています。この請求は、権利主張期間の満了後3か月以内にしなければなりません(民法958条の2第2項)。
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⑥国庫への帰属
 処分されなかった相続財産は「国庫に帰属する」ことになります(民法959条)。

  
5 費用と「予納金」について
 申立ての際には、収入印紙などの費用のほか、相続財産の中に管理費用等を賄える流動資産が不足している場合には、家庭裁判所に「予納金」を納める必要があります。この予納金は、相続財産清算人が相続財産を管理・清算するために必要な費用や、清算人の報酬にあてるための金銭に充てられます。不動産の売却等により最終的に管理費用や報酬を支払うことが可能になった場合には予納金が返還されることもありますが、返還されないリスクもありますので注意が必要です。

 
6 まとめ・弁護士に相談するメリット
 相続財産清算人の選任手続きは、戸籍謄本の収集による相続人不存在の確認や、財産状況の調査など、専門的な調査と手続きを伴います。相続人がおらず遺産の処分でお困りの方、債権回収をご検討の方、あるいは特別縁故者としての財産分与をご希望の方は、専門家へ相談することをお勧めします。