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お知らせ&コラム

2026.10.15
個人再生・自己破産をしたら連帯保証人はどうなる?

1 はじめに
 相談者の中には、「主債務者が自己破産や個人再生をすれば、連帯保証人の負担も軽くなるのではないか」と勘違いされているケースがあります。
 実は、主債務者の債務が手続によって減額されたり免責されたりしても、原則として連帯保証人の責任は軽減されません。
 本コラムでは、主債務者が個人再生や自己破産を選択した場合における「連帯保証人の取扱い」について、誤解されやすいポイントや求償権のルールを解説します。

 
2 弁護士の受任通知と連帯保証人への影響
 債務整理を弁護士に依頼すると、弁護士から債権者(貸金業者や銀行など)へ受任通知が発送されます。
 受任通知が届くと、主債務者に対する直接の催告や取り立てがストップし、主債務者は支払いを一時停止して生活再建に専念できるようになります。
 しかし、主債務者が返済を停止すると、債権者は「連帯保証人」に対して残債務の一括支払いを請求することになります。
 連帯保証人は主債務者と連帯して債務を負担しているため、催告の抗弁権や検索の抗弁権がなく、一括請求を拒むことができません(民法452条ないし民法455条)。

 
3 個人再生や自己破産による連帯保証人への影響

①個人再生の場合
 個人再生は、裁判所に申し立てを行って再生計画の認可を受け、借金を大幅に減額したうえで原則3年(最長5年)で分割返済していく手続ですが、民事再生法177条2項は『再生計画は……再生債権者が再生債務者の保証人その他再生債務者と共に債務を負担する者に対して有する権利……に影響を及ぼさない』と規定しており、主債務者の債務が圧縮されても連帯保証人の債務は減りません。

②自己破産の場合
 同様に、自己破産の免責についても破産法253条2項において『免責許可の決定は、破産債権者が破産者の保証人その他破産者と共に債務を負担する者に対して有する権利……に影響を及ぼさない』と定められており、主債務者が免責許可決定を受けても連帯保証人の債務は残存します。

 連帯保証人は、主債務者の支払能力に問題が生じた場合の人的担保ですので、これらの扱いはその役割からして当然の帰結といえます。
 連帯保証人は一括返済の義務を負うことになりますが、多くの場合は連帯保証人も一括で返済できない場合が多く、妥協案として、元々の主債務者が支払っていた金額と同じ条件で返済(分割返済)を引き継ぐことも多いようです。
 なお、個人再生や破産手続が終わる前に、保証人が借金を一括返済した場合には、返済をした債権者に代わって、債権者となることができます。

 
4 具体例でみる個人再生手続における連帯保証人の負担
 残債務が500万円あるケースで説明します。主債務者が個人再生を行い、再生計画によって500万円の債務が100万円に圧縮されたとします。
 この場合でも、連帯保証人が負う保証債務は「300万円」のまま減額されません。仮に主債務者が再生計画に従って60万円を分割返済していく場合でも、連帯債務者は300万円を返済するつもりで分割返済をする必要があります。

 結果的に、主債務者と連帯保証人の返済の合計が300万円に達すれば、債権者に対しての返済は終了ですが、主債務者の負担が自身の返済予定額(上記であれば100万円)に満たない場合には、本来返済すべきだった残りは連帯保証人の求償権に充てられることになります。
 求償権とは、端的にいえば、連帯保証人が主債務者の代わりに債務を弁済した場合に、主債務者に対して「代わりに払った分を返してほしい」と請求する権利をいいます。

 上記の例でいえば、主債務者が50万円の返済、連帯保証人が250万円の返済をした場合には、主債務者が本来返済すべきだった残りの50万円は連帯保証人へ返済する(求償される)ことになります。

 
5 おわりに
 実務で非常によく見られるのが、住宅や事業資金の借入れの際、配偶者を連帯保証人に設定しているケースです。
 このようなケースでは、主債務者が債務整理を進めると同時に配偶者へ一括請求が行くため、夫婦そろって債務整理を検討しなければならない事態が頻発します。
 
 特に、離婚の際に連帯保証関係があやふやにされていたり、離婚後に主債務者が法的整理に入ったりしたことでトラブルへ発展する事例が多く見られます。
 離婚したとしても法律上の連帯保証人としての立場は自動的には消滅しないため、注意が必要です。

 主債務者が自己破産や個人再生を申し立てると、連帯保証人には大きな影響が及びます。
 「連帯保証人に迷惑をかけずに自分だけ解決したい」と考えていても、法的な仕組み上、連帯保証人を完全に切り離して手続を進めることは困難です。
 連帯保証人がいる状態で債務整理を検討される場合は、申立てを行う前に弁護士へご相談いただき、連帯保証人が受ける影響や連帯保証人側の対応策も含めて計画を立てることをお勧めします。